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卓517 続・早稲田の初秋

社会 2019.08.23

木曜日、目黒区にある男子校(中・高)に行ってきました。
今年、私は10年に一度の教員免許状更新講習を受ける年齢。
計5日、つくばや都内が会場でしたが、1日だけその学校に。
母校ではありませんが、31年前の教育実習先でもありました。

その日は、全国各地から受講に来た先生方40数名と、
特別講習で登校した男子中1生40数名とで、
数学や地理の課題を掘り下げる時間を共にできました。

この学校、戦後に農業学校として開校したこともあり、
最寄駅すぐそばの線路沿いに1500㎡の水田をもち
(ちなみに普通の教室1つが100㎡くらいですね)、
毎年中1生は、もち米の栽培を体験します。

10月に収穫したもち米は、
翌春の入学式の日にお赤飯にする伝統が続いていて、
この日は除草等でしょうか、農作業とセミナーのために
中1生たちは登校していたようです。


( 2019/8/22 16:57 )

こちらがその最寄駅。
井の頭線で、渋谷と下北沢の中間に位置します。

写真の左端の奥の方に、学校の田んぼがあります。
収穫期からして早稲ではありませんが、
前号の続編もあるので、表題は
「早稲田の初秋」のままにしてしまいました。

というわけで、今週は、学校(取手聖徳)の方には、
あまり足を運ばない1週間となりましたが、
合計30時間の受講はどうにか終わりました。

前号では、日本のテレビ番組が40年前はまだ、
他国からの輸入ものが多かったという話題に始まり、
それが、自国で制作した番組も大いに主力となり、
他国へ輸出するほどの番組まで登場するようになっていった、

という段階の変化のことだったかと思います。ここを、
2.文化の依存関係 ~40年前のテレビ番組は 輸入品が今より多かった。~
と題しておりました。 卓516 早稲田の初秋
ここからですが、

3.テレビ番組の進化と、一国の工業化は似ている。

・・・2.では、日本のテレビ番組が、
輸入品の比率は減少し、
輸出品の活躍が見られるようになった

ことにふれましたが、それは、
高校の地理の教科書にも記されている、
「工業化」と共通点が見られます。

教科書は、ここ半世紀の間に急速な工業化を
実現してきた国々・地域がたどってきた
工業化の段階を、

「輸入代替型」「輸出指向型」
などのように、いくつかの類型で表現しています。
経済・産業分野の論文などでも使用される語句です。

すべての国の場合にあてはまるわけではありませんが、
シンプルにとらえようとすると、次の
①~③のような順で進んできてたようにも思えます。

① 輸入代替型
・・・・他国からの輸入で得ていたものを、
・・・・自国で作れるようにもなりました。

② 輸出指向型
・・・・売れる範囲(市場)を拡げるため、
・・・・他国からの資本進出も受け入れて、
・・・・他国へ輸出するようになりました。

③ 知識集約型
・・・・工場は人件費の安い他国に移して、
・・・・最先端の研究・開発で益々の収入。

経済から見た球面上の各国のやりとりを
時系列で整理すると、工業化については、
こうした段階で見るとわかりやすい気がします。

日本のテレビ番組も、
①輸入番組への依存から脱皮した段階
②輸出できる番組が登場するようになった段階
では、③(知識集約型)は?

明らかに、ラジオもテレビも、今から20年ほど前の、
2000年頃の情報通信網(インターネット)の
急速な普及よりも前に比べたら、

奪われてしまったものは何か、発揮できるものは
何であるかを、すでに検証し尽くしているでしょう。

動画サイトやSNSなど、他のメディアとの競争にさらされ、
ラジオもテレビも、発揮できる情報発信とはどうあるべきか、
について研究・開発にとりくみ始める。
という状況にほかならないでしょう。

仮に、スポンサーからの資金が減少してしまっていたならば、
制作にかける支出も、関連会社への移管などを通して、
縮小・削減をしていく方法を択ぶようになるでしょう。
③の発展は、開発・研究ありきです。

ですが、③に加えて、もう一つ、④が存在します。
上の①~③とは別格で発展するものとして、

伝統的に強い支持を得ながら受け継がれ、
高い付加価値を伴う工業製品づくりの分野が在ります。

ブランド品など、お値段の張る高級品を選ぶ理由も、
廃れることのない伝統に裏付けられた高品質、
ゆえにただよう品位や品格の良さ・高さへの支持に始まり、

残念な場合だと、見栄、虚栄心、ステイタスの具現に
とどまるもの、などまで含めて広汎に及び、
市場の巨大さをうかがわせます。

日本国内では、高級織物、刃物、家具などの
伝統的工芸品や、地場産業の醸造品など。
他国だと、高級な衣服・皮革製品・輸送機械(車など)が該当します。

この分野を、上の①~③風に記すと、

④ 高品質・高付加価値型
・・・・そうはいっても、伝統的な品質は、
・・・・大量生産・薄利多売とは関係なく、
・・・・職人の技能が価値を受け継ぎます。

という表記にでもなるでしょうか。

この④を、
日本のテレビ番組制作の発展段階の例に照らすと、
廃れることのない強靭な要素が残るように思われます。

どんなにICTが発展しても、
ラジオやテレビをこの世からそう簡単には
消し去るに至らない要素。これがいくつもあります。

・ICTの発展差が、世界の国や地域間に大きく存在します。

・ラジオの重要性は、災害時に再認識されます。

・ラジオ、テレビ、新聞、書籍には、
高く信用・支持される報道や著作内容を発信する責任があります。
・・・・公表する責任と時間厳守に揉まれる中で、
・・・・制作・編集・発行を通して情報を発信するを使命が、
・・・・放送局・放送協会・新聞社・出版社にはあります。

経営体の数の変化はあるかもしれませんが、
高品位・高付加価値の製造業になぞらえられそうなメディアこそが、
高品質の情報発信機関(事業者)として、
広範囲からの需要と支持を得られ続けることでしょう。

③のような開発・研究に加え、
④のような高品質の維持を、
安定した収支基盤のもとで継続することにより、

工業製品の場合も、テレビ番組などのメディアの場合も、
多様な国民性を背景とした他国との国際関係を見据えた上で、
変化に富む、その時代にふさわしい経営が
成立するものと考えられます。


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PS
本校の会食のない夏休み、久々にお昼ご飯ネタです。
上述の木曜日のお昼は、駅近くの定食屋さんへ出向きまして、
「まぐろ生姜焼き定食」をいただきました。

醤油や薬味の風味がお刺身以上にお肉(おサカナか)に
しみ込んでいて、終始内心うなりながら食べ終えました。
さしのはいった部分も見た目の段階から美味でした。

おうちでも、まぐろのお刺身をこんな風に調理してみるのも、
おいしいかもしれません。お店の名前は「菱田屋」さんといいます。