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卓621 夢の島

水越 卓治 2021.08.20

お暑い中、お元気でお過ごしでしょうか。
わたしの自宅では、7月中旬にリビングのエアコン(since
1998)が壊れて以来、3週間ほど修行のような日々を…。
でも今は、おニューに見守られてほっとしています。


( ↑ 2021/8/5  21:54  おニュー。商品名は nocria。右から読むと…。 )

それを聞いた先輩や友人からは「冷蔵庫なども、壊れる前に
買い替えた方がいい」「事後保全ではなく予防保全を。」
とアドバイスをもらい、こちらもまた since 1998 の冷蔵庫に
感謝・おさらばし、新調を決めました(近日中に搬入です)。

小1の頃(1972)だったか、冷凍庫のない冷蔵庫に替わって、
真新しい冷凍冷蔵庫がやってきたときの歓びを、苦手だった
作文に「れいとうれいぞうこ」と題し、「ヤクルト凍らせたら
くせになるほど旨かった」みたいなことを書きましたっけ。

その際に、それまで使っていた冷蔵庫様が電器屋さんに
運び出される様を見て、ただのゴミとはちがうものですから、
あれはどこへ持ってかれるんだみたいな話をしていたら、
母親が「 夢の島 に持ってかれるのよ。」と答えたのです。

当時はまだ鼠さんで有名な「夢の国」は在りませんでしたが、
「夢の島」が、一般名詞の「夢の・島」ではなく、
固有名詞として一気に言い切る、地名の「夢の島」について、
方々で出たゴミを湾岸の海に埋め立てた所だと知ります。


図1(「今昔マップ」より 上は1967年・下は2001年 )

ご存じの方も多いと思いますが、「夢の国」の舞浜駅から
2駅西隣の新木場駅(京葉線・有楽町線・りんかい線)の
北側一帯が夢の島ですが、ゴミの埋め立ては1967年にすでに
済んでいたそうで、そのあとはといいますと、

小6の頃(1977)にやってたドラマで、草刈正雄さんや
田中邦衛さんが熱演していた『華麗なる刑事』の中で、
犯罪発生箇所か、犯人の追い込み先かだったと思いますが、
「中央防波堤」なる東京湾岸の地名が頻繁に出てきました。

そこは「中央防波堤」の北側や南側へのゴミの埋め立てが
進められつつあった「中央防波堤埋立地」。今のお台場方面
からは、橋の時期を経て、海底トンネルが通じていましたが、
ゴミ収集車や都バス以外の一般車は通れないトンネルでした。


図2(「今昔マップ」より 上は1978年・下は1987年  廃棄物から出現する陸地の図。 )

ゴミ埋め立ての現場には、大学を卒業する春に(1989)、
地理学の巡検活動(=現地の野外調査)で一度行きました。
大学の先生方、院生の先輩方と1台のバスに乗り合わせ、
江戸川区の農地や、築地市場などの地区を見た後に、

海底トンネルをくぐったあとに広がる、
海鳥の群がる荒涼としたゴミ捨て空間を眺め見ながら、
生ゴミ混じりのにおいが車内にまで漂う中、
大都市一角の知られざる空間を周回してきました。
図2の下の図の東方に荒地が広がる埋め立て地の辺りでした。


図3(「地理院地図」より  図の中央が「中央防波堤埋立地」)
( 図の左下には羽田空港や川崎市が、右上には夢の国の一部が見えます。)



図4(「今昔マップ」より 上は1994年・下は2021年 )

その地も、2020年に地名が与えられました。
防波堤の南西側は「令和島」。北側は「海の森」。
「海の森」ではゴミ等の埋め立てが1986年に終わっています。


図5(「今昔マップ」より 上は1994年・下は2021年 )

南東側の埋め立て地では、投入がまだ続いているようですが、
上の図5には、30mの等高線までもが見られ、
廃棄物の埋め立ても、限界が見え始めているようです。


図6(「今昔マップ」より 上は1994年・下は2021年 )

他の埋め立て地への高規格な道路も3方向に拡張され、
上述の夢の島方面から羽田空港方面を貫く東京港臨海道路と、
竜を思わせる風貌の東京ゲートブリッジ(2012年開通)は、
湾岸奥地の新名所にもなって久しいところです。

さらに、
図5の中央に「中央防波堤」と記されている辺りの水路は、
「海の森水上競技場(Sea Forest Waterway)」として、
TOKYO 2020 のカヌーとボートの会場へと大変身を遂げていました。



そして、こともあろうに、わたしは、


( 2019/12/18のスクショ )

ここで行われるボートの決勝戦のチケットが取れていたのに、

去年も今年も海の森の客席に着くことはできませんでした~。

ボートはテレビでもオンエアを見かけませんでしたが、
NHKのサイトでいつでも何遍でも見られる辺りがなかなか。
TOKYO2020 ボート決勝
さっそく鑑賞。


( ↑ 背景の標高30数mの丘に、ゴミの山の面影はありません。)

( ↑ かつての中央防波堤の位置は、五輪の表彰式の舞台に… )

( ここで観戦してみたかった…。東京ゲートブリッジも、以前と異なり華がある橋になりました。)

夢の島に始まった東京の廃棄物埋め立て事業は、
世界のオアズマン(漕手)の夢を叶える島を成しました。

ですが、このような島が造りだされてしまうほどに
廃棄物が出て来るペースも、今後のSDGs実現に向けて、
工学的にも倫理的にも改革が求められていくところです。

そうは想いながらも、

過日、亡き両親がくらしていた市川の旧宅の家具や家電や、
一切合切、処分。赤子の頃の自分を見守っていたであろう
桐箪笥など、古参の家具群や思い出の雑貨群とお別れを。

川崎の業者さんに5時間かけて持ち出してもらいましたが、
わが家から、かつて夢を託していたであろう大量の品を、
廃棄物として出しました。

想いは複雑さを増すばかり。


( 2021/8/18  12:33 業者さん、川崎から市川へは、ゲートブリッジ渡って来たかもしれません。 )

 

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