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卓592 普通にトイレのある国で

社会 2021.01.29

仕事や旅行で各地に出向き、
各都道府県その地のトイレにお世話になる。
駅や空港、SAやホテル、店や役所、病院や教育機関と
人のつどう所、清潔で好印象だったトイレも多々ある。
しかし、残念だったケースの印象は、記憶からもぎ取れない。

一例。もちろんのこと、
自分の属する性別のトイレにしか行ったことのない中で、
立ちながら使う便器のてっぺんに、なぜか、
一本の体毛が置かれている、という景である。
ある県でしか見たことがなく、しかも幾度も出くわしている。

たまたま落下したのだとは推量できない他人の体毛を前に
心を和ませたり、目を細める人はいまい。
これを他の都道府県では一切見かけたことがない。

不快感や憤りよりもむしろ、地域性を考えてしまう。
自身の体毛を便器上に置くことで、知らないだれかが
捨てておいてくれるものと認識しているのだろうか。

次の使用者の気分を明らかに害するに違いないと
推量したり、気遣うことのできる意識の形成が、
この地域では今日もなお、立ち遅れているのではないか
という仮説をいだかれてしまっても仕方がない。
今時分、鑑定を依頼すれば特定もできるにもかかわらずである。

ペーパーの使い方にも、あとを濁さず場を去れるのかにも、
個々の人柄が顕れる。
しかしその、人柄を地域空間で積分すればそれは、
地域性となり、県民性となり、国民性にまで投影されうる。
技術や利便性ばかりが向上してきた今の日本で、
家庭や地域、教育機関が、何かを後押ししそびれている。

以前、航空機の国際路線のCAさんが、
乗客のトイレ使用の丁寧さやマナーの良し悪しが、
国や地域によって大きく異なっているという状況下で、
機内トイレの衛生維持に、随時尽力しているという
話を聴いたことがある。
幾重にも国民性が交錯する現場での取り組みは、
通常の地上社会にも十分な示唆をもっている。

国際連合は、11月19日を「世界トイレの日」としている。

「世界では 3人に1人がトイレのない生活をしています」

「トイレのない」とは、不衛生な状況により、
健康と成長を阻まれて死亡する子どもたちが
世界で 1600人/日 もいる現実を指している。
屋外排泄をゼロにすることなどが開発目標となる。

そして、私たちに向けてのフレーズ。

「トイレがないなんて 考えたこともなかった」
「『トイレがあるのは当たり前』だと思っていませんか?」

当たり前だと思っている分、
使えることのありがたみは眼中になく、
次に使う人への気遣いに欠けた、甘えや無関心を野放しにすることは、
教育現場でもあってはならない思いがある。
ある県で見る便器に置かれる体毛も、もう今後二度と見たくない。

こちらの方が情けない改善目標といわざるをえない。

 

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P.S.


( 2021/1/18  12:52  国道6号線・上り線  ユニローズ・珍來間  )

取手市・桑原の、大手ショッピングセンター誘致予定区域周辺。
田園に何やら、側道や電柱の設置工事が始まりました。
この状況下、紅白幕付きの鍬入れ式などは省略したと思われます。

以上になります。