卓844 取手市内 ~旧4町村をゆく~
水越 卓治 2025.11.28
3週間前の6年生(高三)選択地理探究の時間は外での授業。
学校と取手駅を1往復です。
(経路図)
*
取手駅までの往路は、
最寄りのバス停「山王局前(さんのうきょくまえ)」から
路線バスでの移動。駅からの復路はALL徒歩です。
暑くも寒くもなく、絶好のウォーキング日和です。
( 2025/11/6 8:43 )

.
学校から田んぼ道を北西へ雑談して歩くこと10分。
田園地帯から山王の集落に入りかけるところに、
墓石のように見える石碑がありました。
(2025/11/6 8:55頃 左・Sさん撮、中央・Oさん撮 )

・
大正時代に立てられた道しるべで、
「粁」をkmと読み換えると、
「正面 谷井田 3km 豊体 5km
.右 谷田部(14km) 水海道(13km)に至る」
右側の側面には、
「0.8km先 左 細井(1km) 六郷(3km)
.右 桑原(3.3km)井野(4.5km)に至る」
と彫られています。
「道なども昔のまま残って4方向にわかれていたり、
.昔の道路表記を見ることが出来たりとても貴重な経験をする
.ことが出来たと思いました。」(Sさん)
山王の集落に入ると、8:30から開いている和菓子屋さんが。
( 2025/11/6 9:00頃 羊羹屋本舗 本店(明治2年(1869年)創業) )

*
この地区の昔の賑わいなどをうかがいました。
「特に印象に残っていることは、昔山王の近くに映画館が3つ
.もあったことです。時が経つ事に栄えている場所とか移動
.したりお店がなくなってしまうことを身をもって知ることが
.できました。」(Sさん)
小貝川の河岸として発達した山王は、
貨物輸送の主役が舟運から鉄道に移るまでは、
駅前のような発達をし、農村というよりも、
商工業機能や映画の上映場などの娯楽施設も複数あった
小都市のような集落だったようです。
( 2025/11/6 9:09~9:30 )

.
山王の中心部にあるバス停から、
関東鉄道守谷営業所が運行する路線バスに
15分ほど乗って(5.8km、370円)、取手駅西口へ。
西口駅前の写真の右下隅に工事現場用マスコットが映っている
辺りは、かつてミスタードーナツ取手店があった場所です。
ここから復路。すぐ近くにある取手市の福祉・保健施設
「ウェルネスプラザ」でトイレ休憩をとったのち、
おおむね真北をめざして歩き始めます。
国道6号線の白山前交差点を歩道橋で渡り、
白山(はくさん)の商店街を北へ進みます。
( 2025/11/6 9:31,6号線・9:40頃(Oさん撮),白山の通り・9:44頃(Sさん撮),焼きそば店の店頭は 11/2 ㈰ 16:02撮 )

*
600mほど続く商店街の中には、
たたんでしまったお店もありますが、
事業所、役所、学校などを取引先とする商店は、
郊外型のSCなどに負けずに営業しています。
この道は国道294号の旧道に当たり、水海道・守谷方面から、
取手の河岸を結び、利根川の舟運に接続する銚子街道と
呼ばれていた歴史があるようです。
( 2025/11/6 9:44~9:51、右下はグーグル・ストリートビュー(2024/5 ))

.
「また、市立白山小学校のところの商店街には、昔ながらの
.文房具屋さんが今でも残っていて学校経由でお店を
.保っているところもあることを知りました。」(Sさん)
私も、「荒物屋さん(金物屋さん)の店頭から
その地域の気候風土と生活文化が読み取れるのだ」ということ
を学生時代に教わったため、今でも旅先の街並みで荒物店を
見かけると、足を止めてしまいます。
また、きものやそのクリーニングを扱う専門店もありました。
さて、この通りを500mほど歩くと、
左手にある取手競輪場から右手の寺原小学校方面を結ぶ道と
交差します。
取手駅から学校までやむをえず歩いて向かう場合は、
ここまでの白山の商店街を進んで、ここの十字路を右へ曲がっ
てひたすら進めば、途中から学校の校舎が見えてくるので、
ここの景観だけでも知っておいてもらうとよいのではないかと
思っています。
( 2025/11/6 目印は、取手白山郵便局の角を、鈍角に右折。といったところか…。この右を歩いて行けば、校舎が見えるところまで行きます。)

.
白山から寺原・本郷地区へ北上する路を行きます。
往きのバスでも通った国道294号を、セブンイレブンと
白山公民館のある信号交差点で渡り(次の写真1枚目)、
関鉄常総線を渡り(写真2枚目、西取手駅が見える)、
寺原小の裏門付近は旧来よりあった路を進み(3枚目)、
旧寺原村の本郷地区にある東漸寺の茅葺きの門に足を停めまし
た。宗教施設に着目すると、取手市内には伝統的な寺社のみならず、
創価学会や立正佼成会などの組織的な宗教団体の支部などが
茨城県南部の拠点として置かれているのも特徴的です。
( 2025/11/6 10:00~10:18)

.
「平成の大合併」の前からあった取手市(1975年市制)の前
身は、1955年のいわゆる「昭和大合併」が行われる前は、
取手町、寺原村、稲戸井村、高井村、小文間村の1町4村
(1947年に井野村が取手町と合併するまでは1町5村)に
分かれていたようですが、
1945年の旧図で見ると今回の歩行は、
取手町→井野村の西方→寺原村の村役場付近→山王村
と1町3村を跨いで進む経路となります。
町村役場を表す白い丸印のある位置には寺原村役場が
あったようで、グーグル・ストリートビューを見ると、
2015年の景として、「JA茨城みなみ・寺原支店」が
小さな郵便集配ポストなどと共に映り出されてくるのですが、
数年前からここは更地です。
( 2025/11/6 10:21 )

・
昭和の合併で姿を消した自治体の中枢が農協に替わった場所は
守谷市の旧高野(こうや)村役場の跡地も最近まで
同様の事例でした。農協改めJAの改組によって、
こうした近現代の歴史地理的な意味をもつ地点の姿も
気づきにくいところで各地で変化している感がありまして、
各市の教育委員会などで今後これを史跡として扱うか否かが
注目されるところです。
全国各地に見る「本郷」の地名ですが、
都市部でいう「本町」と同様に、ある時期に町村だった地域で、
中心的な地区に付きがちな地区名が
「本郷」や「中里」である傾向が多いように思います。
脇道に逸れますが、取手市の場合、
「本郷」地区の西隣に「駒場」地区があるものですから、
東京大学と関係がありそうでいてこれが全然無いというあたり
にも、プチ閉塞感を禁じえません(やや冗談)。
さて、高台(洪積台地)から、低地(沖積低地)へ、
標高差15mほどを下りると、一面のライスフィールドです。
( 2025/11/6 10:23~10:24 左はSさん撮。 地平線の先には筑波山。)

*
縄文時代の海進があった時期は、
ここが海岸線で、浜辺と浅海が広がっていたのでしょう。
復路の中間地点ぐらいで、学校までまだあと2.3km。
ライスフィールドでは、ライスを食べようじゃないかと
私から言い出しまして、白山のセブンイレブンで買った
おむすびを坂下のガードレール付近で、
遠くに見える筑波山と学校の校舎を眺めながら
いただくことにいたしました(P.S.参照)。
さて、さきほどまでの都市的な住商地区や、
寺原村役場跡付近の在来の集落とは異なり、
一面の農地で、人口密度の希薄な空間に入り、
遠方にある病院や工場などまでよく見える視界のよさに変化。
( 2025/11/6 10:41~10:50 左はOさん、右下はSさん撮。右上の写真は、畑に見かけた動物の足跡。話し合った結果、タヌキなのかもということに…。 )

*
途中、もと水田だった遊休農地(耕作放棄地)の有効活用とし
て、ひまわりの栽培と、ひまわり油でリップバームを製造し、
取手市のふるさと納税返礼品に活用してもらうという活動を
している団体の圃場の前を通りかかりました。
その団体、じつは本校の「ひまわりプロジェクト」で、
市内の地域のみなさん、幼稚園児・保育園児、
化粧品製造メーカーとの交流を通じて数年前から、
遊休農地から展開できる諸活動を、
2名の先生が顧問に就いて推進されてきました。
校舎も無事に見えるところまで来まして、
イノシシだ、クマだという害獣に出会うこともなく、
不審者や危ない運転に出くわすこともなく、
決して安全とはいいきれない道路を歩行してきました。
3校時の授業の先生には予め20~30分程度の遅れの許可を
いただいておりまして、11:00に正門に到着しました。
( 2025/11/6 10:55~11:00)

*
「父の実家が取手なのですが、全然違う方向なので今回歩いた
.場所は、駅から学校までが初めて通る道ばかりだったので新
.しい発見ばかりで楽しかったです。(中略)時が経つにつれ
.栄えている場所などが移動したり、お店がなくなってしまう
.ことを身をもって知ることができました。(中略)途中休憩
.中、遠くに見える自分たちの学校を見ながら食べるおにぎり
.は凄い美味しく感じました🍙ウォーキングは健康維持にもい
.いと思うので、自分の家の近辺や行ったことがない場所など
.友達誘って皆で歩きたいと思います!」(Sさん)
「個人的に取手市内では聖徳や取手駅周辺しか知らなかったの
.で、探索していくことで商店街や田畑、昔からある建物が残
.っていたりするなど、自分が住んでいる守谷とはなんとなく
.似ているところもあったけど、少し雰囲気が違っていたこと
.が分かり、自分にとって未知のところに触れることができて
.楽しかったです!また歩いているときに、神社が思ったより
.多くあって、取手には何個か神様の宗教?みたいなのがあっ
.てそれが今でも点々と残っているのかなと少し疑問に思いま
.した。(中略)今回は取手市について街並みが昔と今でどう
.違っているのかについて探索したけど、有名なところや自分
.の住んでいるところの周辺も昔と今でどう違っているのかを
.実際に訪れて歩いてみたいなと思いました!」(Oさん)
また、2人が撮った写真の画角の取りかたに、
共々個性を感じることもできました。
Sさんの縦型で展望性のあるシュッとした撮り方も好きですが
Oさんの、思いがけない要素を取り込んだ景観画像もなかなか
いいなと思って見返したりします。
*
( Oさん撮、白山前T字路歩道橋からの景。歩道の真下に民家の屋根が見え、細かく起伏のある地形のゾーンが都市化したことが見てとれます。2025/11/6 9:40頃)


■
P.S.1
今大学1年生になった去年の地理探究選択生の中に、
「こども110番の家」の分布を実地調査した班がありました。
今回の2人も、都市部、集落部で、「こども110番の家」を
掲げている物件の多少などに着目して移動しておりました…
と、去年の先輩たちにお伝えしたい次第…(写真省略)。
P.S.2
フィールドワークでもモグモグタイムは、
意味があれば、大事。
( 2025/11/6 9:58、10:26、10:30 )

*
以上になります。